サイゼリヤ・科学で高収益を実現
ファミリーレストラン業界でダントツの利益率を上げるサイゼリヤは2009年8月期営業利益は10%強の実績を作り出した。都心店舗の時給は1200円前後でファミリーレストランでは最高水準の時給で引き下げは無いという。客単価は500円未満のメニューが大半となっており低価格が売り物のファミリーレストランである。
この実績を作るために心がけていることは「生産性の向上」という。企業であれば当然のことであるが、その徹底度合いが圧巻という。すべての業務を原理原則に立ち返って日々、考える。日経新聞のこの記事は興味深い。
店内掃除を例にとると、掃除とは何か、何故掃除機を使うのか、科学的解析を交えて考え抜くことであり、行き着いた先がモップとなった。床のゴミやホコリを取り除くのが掃除だから空気まで吸い上げる必要が無い。しかも掃除機は吸い取り口が小さく、何度もひじを動かす動作が伴うが、モップだと歩いて押すだけ、ひじを動かす回数が大幅に減る。30センチのモップを試したら同じ通路を何往復もして掃除機とは歩数はあまり変わらない結果となった。そこで120センチ幅にしたら、ひと拭きで済んだ。掃除機で1時間かかる作業が30分になり、生産性は2倍になって作業は楽になった。
レストランに必須の皿洗いを無くすことは出来ないかを考える。なぜ油は皿につくのか、皿の素材を工夫できないか、洗剤は本当に必要か、基本原理まで遡って作業をひとつひとつ洗いなおす。社員の大半は理科系出身で、常識を疑い科学的に考える習性が染み付いている、という。
また、科学的だからといって先端技術に安易に飛びつくわけではない。省力化に役立つ発光ダイオード(LED)照明については、電灯を替える前にやるべきことは山ほどあるという。調理場近くの給排気口も同様で、安全基準に照らして本当に調理に必要な酸素量を計算して、無駄な暖気が無くなれば冷房費が浮く。
もしろん経営に死角がないわけではない、前期には海外の検査をすり抜けて微量の有機化合物が食材に混入し、客足が一時期遠のいた。得意の科学の目を光らせる経営で外食不振の逆風に立ち向かっている。生産性を軸に仕事を組み立てることで、とるべき戦略も見えてくる。期間限定の値引はしない、理由は急激な客数増で店舗作業が乱れることを避けることという。それでも節約志向の客が店に押しかけ、11月の既存店売上高は前年比13%増の実績をとなった。
デフレを嘆いて、立ち尽くすだけでは突破口は見えてこない。サイゼリヤのように足元の常識を疑って取り組む経営が必要という。


