ホーム > ビジネス, ブレークタイム, 経済・一般 > 小売業の経営効率悪化

小売業の経営効率悪化

2010 年 4 月 26 日 今井 明徳

 

投下資本利益率というキーワードが小売業の経営効率ランキングとしてあったのでまとめてみました。小売業においても業態でいろいろと違いますね投下資本利益率(ROIC)は企業の経営効率を計る指標ということなので少々難しいですが勉強してみました。利益率なので分子は利益となり分母が投資資本ということで、自己資本と有利子負債の合計額となります。個人だと、銀行定期預金で0.5%とか国債で1.8%などだから1万円の投資で50円や180円の稼ぎとなりますが、企業としてお金を集めて、その集めたお金を利用してどれだけ利益を出したかの割合と考えるとわかりやすいかも知れないです。

 

投資に見合う利益を生まず 投下資本利益率8年ぶり低水準

小売業の経営効率が一段と悪化している。2月期決算の上場小売りについて投下資本利益率を分析したところ、2010年2月期は8.0%(前の期比1.1ポイント減)と3年連続で低下し、8年ぶりの低水準に落ち込んだ。資金を投入した割には稼ぎが少ない状況を示しており、選別投資の重要性が増している。百貨店とスーパーが大幅に悪化する一方で、カジュアル衣料のポイントがランキング首位に立つなど専門店は検討が目立つ。

投下資本利益率は経営効率を測る代表的な指標で、企業が株主や金融機関からコストを払って調達した資金を使い、どれくらい効率よく儲けたか示す。主に株式投資家が重視しており、10%程度以上が効率経営の1つの目安とされる。2月期決算の小売り70社を対象に、営業利益を自己資本と有利子負債の合計で割って算出した。

8年前の2002年2月期は投下資本利益率が7.7%だった。当時はダイエーはじめ、スーパーや百貨店が抱える巨額の有利子負債が足かせになっていた。業績と財務の改善で2007年2月期には9.9%まで上向いたが、2010年2月期はそのピークから2ポイント近く下落した。

百貨店2.8% 10年で最低

業態別で最も低かったのが百貨店。2.4ポイント低下の2.8%と、過去10年で最低になった。2007年2期の9.3%に比べると3分の1以下の水準だ。長期国債の利回り1.3%に近づいており、利回りだけで見れば、百貨店事業を手掛けるのも、リスクほぼゼロの国債を買うのも大差がなくなってきたといえる。

日本百貨店協会によれば、全国百貨店売上高は今年3月まで25ヶ月連続で前年同月を下回った。2010年2月期は衣料品などの販売が低迷した松屋や近鉄百貨店が営業赤字に転落し、業績不振に陥る企業が相次いだ。

内装などに多額の資金を投じたのも投下資本利益率がが低下した一因。J・フロントリテイリングは旧そごう心斎橋店の買収などで595億円、高島屋は大阪店の増床などで235億円をそれぞれ投資したが、現時点で投じた資金に見合う利益があがっていない。

投資選別がより重要に

総合小売り2強も苦戦した。セブン&アイ・ホールディングスは1.5ポイント低下し9.4%。イオンは大型店の投資を抑制するなど効率重視にかじをきったが、横ばいの6.2%にとどまった。両社とも投資効率になお改善の余地がある。

内需が右肩上がりに時代は投資効率を後回しにしても、物量作戦でそれなりの利益が出た。しかし内需が縮小に向かう一方、リスクの大きい海外事業の比重が高まるなかでは、選別投資の重要性が以前よりも格段に高まっている。

専門店・コンビニは好調

デフレや消費不振の直撃で、百貨店やスーパーの投下資本利益率が落ち込むなか、専門店・コンビニエンスストアは13.4%と業態別で最も高く、百貨店の5倍近い水準を確保した。

ランキング上位に入ったのは、衣料や家具などの専門店が目立つ。首位のポイントは投下資本利益率が50%を越す。在庫をほとんど持たず、流行や季節に合わせてタイミング良く売れ筋商品を集中的に投入。在庫回転率を高め、少ない運転資本で多くの利益をあげた。

自転車販売のあさひは独自に開発したプライベートブランド(PB=自主企画)商品を海外で、低コストで生産。高い利益率を確保した。ニトリやエービーシー・マートもデザインなどにこだわったPB商品の投入で他社と差別化し、値崩れを防ぎながら来店数を増やしている。PB商品の展開力は経営効率の1つのカギを握る。

店舗の過剰感が強まるなか、出店コストを抑えた企業も上位に食い込んだ。ローソンは出店や閉店を減らし、既存店を重視する戦略が奏効。出店計画も既存コンビにより出店コストの安い生鮮コンビニ「ローソンストア100」に軸足を移している。(日経 4/24)

上場小売業の投下資本利益率ランキング
(2010年2月期)

(注)原則連結ベース
順位 企業名 投下資本
利益率
前期比増減
ポイント
1位 ポイント 50.4% -9.2
2位 あさひ 35.9% 6.1
3位 エービーシー・マート 30.8% -1.9
4位 ニトリ 28.8% 7.1
5位 ローソン 26.2% 1.2
6位 西松屋チェーン 20.5% -1.5
7位 良品計画 18.7% -5.9
8位 パ  ル 18.4% 2.0
9位 しまむら 18.1% 0.4
10位 マックスバリュ西日本 17.5% -9.3
11位 ファミリーマート 16.8% -2.4
12位 丸久 15.4% 0.4
13位 サンエー 14.8% 0.2
14位 スギホールディングス 13.6% -3.2
15位 タカキュー 12.2% 4.9
16位 カスミ 11.9% 2.0
17位 サークルKサンクス 11.4% -6.2
18位 ベルク 10.8% 0.2

 

関連ブログ記事

コメントは受け付けていません。