クラウド世界で連携

2010 年 7 月 10 日 今井 明徳

 クラウド事業で富士通と米マイクロソフトが提携する発表がありました。クラウドコンピューティングを提供するためにはクラウド環境をサポートするインフラとしてのデータセンターは必須ですし、その後のサービスを考えると今までのシステム提供とは異なり多大な投資が必要となります。この提携は相互に有する強みを補完できるメリットがあるように思いますね。ただ、先行するグーグルやセールスフォースを脅かすまでには更に協調して進める必要があると感じます。

クラウドの共同拠点サービス 富士通とマイクロソフト

富士通とマイクロソフト(MS)はインターネット経由で利用者にソフトウエアや情報システムを提供する「クラウドコンピューティング」事業を共同展開する。両社が各国で運営するデータセンターを共同利用、MSのソフト開発力と富士通の顧客支援体制を組み合わせ、企業への提案力を高める。連携により両社はクラウド事業の世界市場開拓に弾みをつけ、先行する米セールスフォース・ドットコムや米グーグルに対抗する。

富士通は世界16カ国、約90ヶ所でデータセンターを運営する。年内にも群馬県館林市のデータセンターでMSとの協業サービスを開始。米国や英国、シンガポールなどに広げる計画で、これらのデータセンターに、協業に必要な専用設備を配備する。富士通は自社サービスだけではクラウド需要の海外市場の開拓に限界があると判断し、MSとの協業に踏み切った。

MSは昨年、米シカゴとアイルランドに巨大データセンターを建設するなど世界各地でクラウド事業展開を急いでいるが、アフターサービスなど顧客支援体制で手薄なため、富士通の協力を得ていく。また、富士通と組めばグローバル展開する日本企業との契約がしやすくなると判断した。

両社で投資してデータセンターを増強することも検討している。データセンター建設には1棟あたり数百億円かかるため、共同利用で投資を効率化できる。

MSは今年1月にクラウド専用サービスとして「ウィンドウズ・アジュール」の販売を始めた。アジュールはウィンドウズを利用している企業がこれまで使っていた自前の顧客管理、会計処理などの機能をそのまま使える特徴がある。富士通は協業により海外のウィンドウズの利用企業を囲い込んでいく。

クラウド専業のセールスフォースは世界で7万7000社の顧客企業を持ち、日本でも経済産業省や損保ジャパンにサービスを提供している。グーグルは2006~2009年に計7000億円規模を投じてデータセンターなどを整備しており、日本ではTOTOなどと契約している。

米欧のクラウド事業で実績を持つセールスフォースやグーグルが日本市場で攻勢をかけ、日本のIT大手にとって脅威になっている。米調査会社のIDCによると、2009年に160億ドルだった世界のクラウド市場は2014年に555億ドルに拡大する見通し。(日経 7/10)

主要クラウド事業者の
企業・団体向けサービス事例

サービス提供元 サービス提供先 用途 利用者数
米グーグル 米ロサンジェルス市 メール
情報共有
約3万4000人
米セールスフォース・ドットコム 米デル 顧客情報管理 3万人以上
損害保険ジャパン 37万人以上
米マイクロソフト 英グラクソスミスクライン メール
情報共有
約11万人以上
リクルート 約1万7000人
富士通 HOYA 顧客情報管理 2000店舗

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