データ通信の競争進まず

2012 年 1 月 16 日 今井 明徳

スマートフォンの利用料金の話題です。KDDIも昨年10月からiPhoneを提供を開始しました。価格面で新興勢力として既存のソフトバンクより低価格を打ち出すとみられていましたが、残念ながらソフトバンクより高い価格となりがっかりという感じがします。しかし、同時期に回線のリセーラが低価格を打ち出しました。これらの低価格は機能は限定されていますが、その範囲で利用する顧客には不便さは感じさせず、顧客は増加しています。イオンの980円/月額はその典型例でしょう。今後、このような低価格で提供する企業が増加することを期待します。

データ通信の競争進まず NYより月額4000円高

スマートフォンの急速な普及に伴い消費者の料金負担が増している。携帯料金の中心となったデータ通信料は世界でも高水準。「端末実質0円」や「2年契約縛り」など料金体系も複雑化している。最適な料金水準はどこか、消費者に見えにくくなっている。

後発でも割高

2011年10月7日。米アップルの「iPhone4s(アイフォーン)」発売を翌週に控えたKDDIの料金発表を聞いたソフトバンクモバイル社内は「拍子抜けした」という。

KDDIのアイフォーン向けデータ通信料は月定額4980円。先行するソフトバンクより570円高い。結果的にソフトバンクは値下げを回避。孫正義社長が「競争というより情報革命に取り組む1つの集団」とエールを送る一幕もあった。

後発組みが先行するライバル社を下回る価格で新サービスを始める繰り返しで料金は低下してきた通信業界。しかしデータ通信の料金競争が進まない。

各社のデータ通信収入は伸び続けている。NTTドコモの場合、1契約あたり月2700円(2011年度見込み)と10年前より75%増加。音声収入(2170円)に代わる稼ぎ頭になった。

KDDIの田中孝司社長は「通信品質を競う。料金競争はしない」と話す。スマホ普及に応じてインフラ増強を迫られる中、料金競争で疲弊すれば投資力を奪われかねないという各社の悩みがにじむ。

データ通信は使い放題の定額制が一般的で、割安と考える消費者も多い。だが世界を見渡すとどうか。総務省が世界7都市を比較した2010年の携帯料金の内外価格差調査では、ビジネスマンなど利用頻度が高い消費者の負担は東京が月1万1011円。3位のニューヨークを4000円以上も上回った。

スマホ移行で月額負担が平均1700円上がる点も見過ごされがち。総務省の家計調査によると2010年の世帯消費支出に占める電話通信料の割合は3.66%。スマホ普及で支出がさらに上昇する公算が大きい。

新興勢力は積極的

大手から事実上の卸価格で回線を調達、独自料金でサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)。アールストリームは通信速度を抑え、通話を含む基本使用料をデータ通信料込みで月額4980円と大手の役7割でスマホを使えるサービスを始めた。年末商戦ではさばききれない注文を集めた。KDDIを辞めて起業した小島徹也社長は「携帯でも格安航空(LCC)の流れを起こす」と話す。

MVNOの草分けの日本通信もイオンと始めた月額980円(データ通信のみ)でスマホが使えるサービスが人気。アールストリームを契約したビジネスマンは「大手には自分にあったプランが無かった」と話す。

ドコモの2012年3月期の営業利益見通しは前期比3%増の8700億円。データ通信が好調で従来予想を200億円上方修正した。KDDI、ソフトバンクも営業増益を見込む。

かつて利益成長を値下げの原動力とし契約を増やした各社。契約全体の割合でみるとスマホ利用者は2012年3月末で2割の見込み。魅力的な価格を示さないとスマホによるデータ通信普及を鈍らせかねない。(日経 2012/1/11)

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