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アップルの資金回収スピード

2012 年 1 月 20 日 今井 明徳

 アップル社の資金回収の話題です。近年はキャッシュフロー会計などの話題もあり資本のほかに現金が重要な話題になっています。ここでアップル社がキャッシュフローについて徹底した管理と活動を行っていることがわかります。そのために在庫の低減、商品や部品の絞込みなどを徹底しています。このSCMを構築したのが現在のCEOであるティム・クック氏です。アップル社の活動の源泉は今後も続いていくものと思われます。

資金回収スピード アップル復活の礎に

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)とは分かりやすく言うと企業が資金を回収するスピードを示す財務指標だ。一般的に売掛金と在庫(それぞれ期中平均)の回転日数の合計から買掛金(同)の回転日数を差し引いて算出する。この日数を短くすればするほど現金を生み出す力が強いとされる。

現金を生み出す力が大きいほど、企業が自由に使えるフリーキャッシュフロー(純現金収支)は潤沢になる。研究開発や販売促進に機動的に投入できる資金が増えるため、CCC短縮は企業の競争力強化に直結する。

例えば、米アップルのCCC改善はそのまま復活の軌道と重なる。営業赤字に陥った1996年度のCCCは70日を越えていた。だが復帰したスティーブ・ジョブズ氏が経営の実権を握るとCCCは改善傾向をたどる。

在庫管理の見直しや商品絞込みなどの対策を実施。なかでも、CCC改善の要となる商品や部品のサプライチェーン・マネジメント(SCM)再構築の陣頭指揮を執ったのが、現最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏だ。

2000年以降は安定的にCCCがマイナスを維持。これは、製品を作る前からお金が入っている状態を表す。そこで生み出した豊富な資金を「iPod」や「iPhone」などの開発や販促につぎ込んだ。CCC改善が今日のアップルの繁栄の基礎となった。

CCCが特に重要視されるのが、デジタル家電業界。薄型テレビなどは価格下落が激しく、在庫の期間が長ければ途中で販売価格が下がり、採算が悪化しかねない。

国内ではパナソニックが2000年以降の構造改革でCCC改善に取り組んだほか、ソニーも重要な経営管理の指標に採用し、生産を外部に委託する「アセットライト」戦略を進めている。国内電機大手や韓国サムスン電子は手掛ける品数が多いうえ、半導体などの生産のリードタイムが長い製品を多く抱えている。とはいえ、アップルとの差は歴然だ。

CCCはビジネスモデルや、製品の流通構造によって水準は異なり、異業種間での比較には向かない。ただし、同業内でのCCC格差は業績だけでなく、経営のリスク許容度の差となって現れる。改善が遅れるとライバルに対して投資やM&A(合併・買収)で後手に回る可能性がある。(日経 2012/1/17)

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