IT駆使・宅配から個配へ

2012 年 1 月 6 日 今井 明徳

ヤマトの宅配便の進化の話題です。ヤマトはクロネコヤマトの宅急便とう愛称で私も利用しているユーザの一人です。この宅配便はもともと宅配という名称から自宅などの場所に届ける目的ですが、これを個人に対する配達に進化させようという狙いです。同居の家族でも個人宛に届ける、あるいは個人が指定した場所に届けるように個人を対象としたいわゆる個配という目標に設定して推進を開始したということです。これを実現するために場所と時間を特定したりとITでの地図情報を利用したり顧客管理でデータベース化に取り組んでいます。

IT駆使・宅配から個人配へ 「人に届ける」システム

ヤマトホールディングスが温めている構想がある。駅などに専用ボックスを置き、顧客が帰宅途中などに荷物を受け取る。ボックスの場所を指定すれば暗証番号がメールで届く。「配達を待つのが面倒」「家族へのプレゼントを事前に見られたくない」といった声に応える。

ヤマトHD社長の木川真(61)は「場所ではなく、人に届ける」と宣言する。軒先までの配達で完了していた「宅配」から、一人ひとりに照準を合わせる「個配」への進化。構想は動き出した。

昨年始めた「宅急便受取指定」。受け取る本人にメールで事前通知し、都合に合わせて配達日時を変更できる。コンビニエンスストアや職場などを受取場所に指定することも可能。料金は従来と変わらない。

730万人が会員登録

基礎となるのが宅配便業界で他に例のない会員組織「クロネコメンバーズ」だ。730万人の住所やメールアドレスを登録している。会員の了解を得て個人情報をデータベース化。伝票に書かれた住所と名前からアドレスを割り出し、様々な情報をネット上でやり取りできるようにした。

宅配便の歴史はIT化の歴史だ。生みの親の故小倉昌男は郵便小包や鉄道貨物にあった「荷物がどこにあり、いつ届くのか分からない」という難点の克服に心血を注いだ。顧客に提供する情報の質も量も他社を寄せ付けない。昨年稼動の情報システムには300億円を投じた。会長の瀬戸薫(64)は「過去最大の金額。市場の変化に備えた」と説明する。

東京・有明地区にあるヤマトHDの大型物流拠点。隣接する24時間稼動の専用倉庫に通販会社の荷物を預かり、バーコードで全品を管理。注文に応じて高速で商品を棚から取り出し箱詰めする。そのまま宅急便網に乗せる仕組みだ。

配送最短4時間

車両には独自開発のカーナビ「See-T Navi(シーティーナビ)」を積み、どこに、いつ届けるかを地図情報で常に確認できる。都心なら注文から最短4時間での配送も可能。深夜の通販番組で見た商品を早朝に受け取れる。専用倉庫の責任者は「日用雑貨や化粧品、食品などで『今すぐ欲しい』という需要を取り込む」と話す。こうした拠点が大阪、名古屋、福岡などに広がっている。

ヤマトHDはIT投資に守りと攻めの両方を託す。4~9月期の売上高営業利益は3.7%。業界2位の佐川急便を傘下にもつSGホールディングスが3.2%と背後に迫る。ヤマトHD社長の木川は「宅配便市場は厳しい競争が続く」と身構える。確実に届く仕組みがあれば再配達が減り業務効率が大きく高まる。他社を先行するサービスで価格競争に巻き込まれる懸念も小さくなる。

同時に、早く、きめ細かな配送インフラには顧客満足と需要を創出する力がある。IT子会社、ヤマトシステム開発社長の皆木健司(56)は「5~6年先をにらんだシステム作りの検討が始まった」という。宅配便の未来とは。勝ち残りには顧客の変化を先取りする構想力が欠かせない。(日経 2011/12/30)

関連ブログ記事

コメントは受け付けていません。